ヤングアーチストリサイタル@Hakujuホール


演奏するのは6年ぶり……久しぶりの白寿ホールで、R.シューマンの《森の情景》Op.82を演奏させていただきました。

 

シューマン(1810-1856)のピアノ作品の多くは、彼の若いころに書かれていますが、《森の情景》は歌曲や室内楽を多く生み出した時期を経て、1848年から翌年にかけて作曲されました。ピアノのための作品でありながら歌心に満ち、想像をかきたてられるタイトルを持つ9曲から成る曲集です。

 

1.森への入り口

2.茂みの中で獲物を狙う狩人

3.孤独な花

4.気持ちの悪い場所

5.親しみのある風景

6.宿

7.予言の鳥

8.狩りの歌

9.別れ

 

シューマンは「音楽新報」という音楽雑誌を自ら執筆するなど、音楽と文学の関係を密接にとらえていた作曲家でした。彼の手紙や、作品のタイトルなどから感じる洗練された言葉選びが、個人的にとても好きです。

《森の情景》の構想段階では、各曲のタイトルに加えて、詩の一節を付すことを考えていたようです。最終的には第4曲《気持ちの悪い場所》にのみ、おぞましく不気味な詩が添えられました。

 

森はロマン派の芸術家たちが好んで題材にした、インスピレーションの源。

森の入り口で心躍らせる様子、狩人たちの緊迫感、不気味な影、宿での愉しい語らい、怪しげな鳥の鳴き声、そして夕暮れ……。

どこをとっても歌に溢れた、極上の美しさを持つ作品ですが、ただ美しいだけではない、少し謎めいた“なにか”も感じられる、奥深い不思議な魅力に溢れた作品です。

 


終演後は、白寿ホールの前に広がる東京の森・代々木公園を散歩し帰宅。

雨上がりのにおいの中に、夏の気配を感じられました。

 

 

以下に本番の演奏の動画を貼っておきます♪ぜひご覧ください。

 

ご来場いただいたみなさま、ヤングアーチスト協会のみなさま、ありがとうございました。