チェンバロを弾く


昨日、チェンバロの演奏会に出演してきました。学び始めてかれこれ4年になります。

 

古楽との出会いは大学2年生の時、音楽界の巨匠・有田正広先生の授業を受けたことがきっかけでした。昔の演奏習慣や作品の様式を座学として学ぶだけでなく、実際に色々な時代の楽器や作品を演奏したり、蓄音機でレコードを聴いたり……とにかく刺激的な時間だったのを覚えています。古楽の世界、そして音楽の広い世界を教えていただきました。

 

最近の音楽シーンで古楽はブームではありますが、ただ古楽器を弾くことが古楽ではない。当時のことを楽譜や文献、さまざまな資料から学び、その上でいま自分はどのように演奏したいのか。チェンバロを弾くにしてもピアノを弾くにしても、表現の引き出しを増やしていくことが大切なのだと痛感しています。

 

通奏低音や古楽アンサンブルにもよく関わったので、ピアノ科のくせに桐朋の古楽器科の部屋にはよく通ったなぁと懐かしくなり、先日練習に行った際に写真を撮ってみました。

 

手前の水色のチェンバロは練習はもちろん、レッスンや授業、試験でもよく弾いた楽器です。左側の金色のチェンバロは私はあまり弾きませんでしたが、水色のものと並べて2台チェンバロの作品も演奏することが出来ました。

 

奥の方にはモーツァルト時代のフォルテピアノもあります。学内リサイタルでモーツァルトのソナタを弾いたり、フラウトトラベルソ(フルートの古楽器)の伴奏として共演したこともあり、こちらも思い出深い楽器です。現代のピアノで言うダンパーペダルが鍵盤の下についており、右膝で押し上げて使うのですが、私の踏み方が悪いのか足が短いからか笑、いつも足がつりそうに……。

 

この部屋には、ショパンが愛したピアノメーカー・プレイエルのピアノ(ショパンが生きた時代よりは少し後のものだそうです。1860年代だったかな……)もあります。

見た目は現在のピアノと似ていますが、弦やアクションの構造が大きく異なるため、演奏する際はタッチの力加減や弾き方を変える必要があります。普通のピアノのように弾くと壊れます。

 

プレイエルは特に繊細な楽器のため、本来一般の生徒が弾くことは禁止されているようです。私は大学3年生の頃に有田先生から「いつでも弾きに来ていいよ」と声をかけていただいたので、その言葉を4年経った今でも信じ(?)、古楽器の部屋に来た際にはプレイエルにもよく触っています(時効はまだ…と思いたい…!)。

これがショパンの愛した音色だったのだろうか?と想像しながら弾く時間がとても楽しいです。